2011年5月31日午後2時半から4時まで、福島県立医科大学の1年生を対象にした一般教養の授業「医学セミナー」で「マジでガチなボランティア」が上映されました。
上映終了後は、監督の里田による講演、質疑応答も行われました。
映画の上映のお話を頂いたのは、年初のことでした。
医大での上映ということでとても嬉しく、「地方の医大生はこの映画を見てどんな感想を持つのだろう」とワクワクしたことを覚えています。
そして上映が5月末に決まった直後に、震災が起きました。
いろいろと心配になりましたが「映画どころではないだろう」と思い、その後連絡を取るのを控えていました。
5月初旬に予定通り上映を行うとのご連絡を頂いた時には、ほっとするとともに「被災地の方はこの映画をどうみるのだろう」と緊張しました。同時に、「どうしても見てもらいたい、どう感じるか知りたい」と強く思いました。
当日は正午過ぎに新幹線で福島に入り、大学で御用意いただいたタクシーに乗りこみ、運転手の方にいろいろ聞いてみました。
兼業農家だという運転手さんは、農作物の風評被害が深刻で、農家は来年どうやって食っていくか途方に暮れている、と話していました。
以前にいわき市の避難所を訪ねた時と同様、直接被災していない人にも、どう答えればいいのか言葉に詰まりました。
上映前に、今回お声がけを頂いた先生からいろいろと福島の現状についてお話をお伺いできました。
そんな中、上映にご尽力下さったもう一人の先生が浜通り出身とのことでした。
原発が作られるころからその姿を見て育ち、ゆくゆくはご実家に戻ろうと考えていた矢先に起きた事故。親族も避難生活を送られているとのことでした。
地元の方に直接お話を伺う機会が少ないので、かなりストレートな質問をさせて頂きましたが、丁寧にお答えくださいました。
そうこうしている間に、上映が始まる時間となりました。
被災地の医学生ということで緊張していましたが、東京の学生とあまり変わりはないようでした。
始業が遅れたこともあり、授業は始まったばかり、ほとんどの学生がまだ学校に慣れるのに手一杯という状況でした。
上映が始まると、みなさん、熱心に御覧くださいました。
上映後、質疑応答で学生さんから、
「で、あなたはどんなボランティアを行っているのですか?」
という質問が出て、「この映画を作ることが僕にとってのボアランティアです」と答えたものの、なんだかしっくりこず、核心を突かれたような気がしました。
それは、仕事とか、役割とか、映像を作って発表しているから、などとは一切関係なく、ただ一人の人間としてボランティアをするのかしないのかということを問われたからだと思います。
自分はボランティアをするために映像を作っているのではく、映像を作るに当たって惹きつけられたテーマがボランティアだった訳で、今後もやりたいことは映像を作るということにあります。もちろん、テーマに深い思い入れを持っていますし、取材対象にとって私の作った映像が役に立って欲しいという思いもあります。
でも、それは結果であって目的ではないのです。
一般にドキュメンタリー映画を作る人の中には「社会運動のための手段としてのドキュメンタリー」を作る人がいて、そんな作品も沢山存在しますが、自分が作りたいものはそういうものではないような気がしています。
それなのに「映画を作ることがボランティアです」などとは絶対に口にすべきではなかったのです。
いろんな風に仰って下さる人がいて、ちょっとそんな気になってしまっていたのでしょう。改めてここに訂正いたします。
かなり脱線してしまいましたね。
さて、その後、いつものようにアンケートにご協力頂きました。
その中から、一部をご紹介させていただきます。
被災地だからとか考えず、そのままぶつけられるようになりたい、と思いました。
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寝ようと思ってたけど面白かったので全部見ちゃいました!
この映画を見てもう一度自分の大学生活について考えてみようと思った。
ボランティアをしてそれで自己満足するのではなく、自分の無力さを感じていたことがすごいと思った。
最後になりましたが、上映にご尽力くださった先生方、この映画をご紹介くださった東京医科大学の先生に深く御礼申し上げます。